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2001年11月号 掲載
異常なほど暑かった今年の夏。この夏を無事に越した日本酒は、秋を迎えると、搾りたての春に見せた若々しさが熟成して、ぐんと丸みを帯びた味わいとなる。この秋上がりした、おすすめの日本酒について伺った。
秋田県
■
新政酒造
(TEL 018-823-6407)
――四季を意識した酒造り
日本酒消費量の落ち込みを嘆く声を耳にするようになって久しい。
それでも「挑戦し続けるしかない」と語る同社代表取締役社長の佐藤幸雄さん。「これほど厳しい情勢に立ち向かえる業界もそうそうない」と自負しながら、意欲的に酒造りに取り組む酒蔵だ。営業課長の石川公久さんがこの秋イチオシの日本酒は、日本名門酒会の企画で発売される『秋田流純米ひやおろし』。
「日本酒を知らない人に本醸造や吟醸といった分類などを説明しても、どれを飲めばいいのか迷ってしまうだけ。だから季節を感じるお酒は導入編として大事な役割です」と石川さん。
四季毎に限定商品を発売、夏を越した『ひやおろし』は程よく熟し、広がりのあるうまさが楽しめる。
秋田流純米ひやおろし
1.8L/2000円
■「太平山」醸造元
小玉醸造
(TEL 018-877-2100)
――世界を飛ぶ純米大吟醸
機内で目にする日本酒は、訪れる外国人にとっては最初の出会いとなり、日本人にとっては郷愁を感じる、いわば恣本の顔掾B
この9月から全日空国際線のファーストクラスで飲める日本酒のひとつが『純米大吟醸 太平山天巧』。
秋田流生で造られた純米大吟醸は酸に富み、しっかりとしたボディが特徴、「濃い味付けの料理にも負けない味わいです」と代表取締役社長の小玉真一郎さん。乳酸菌を使う生は米の精白歩合が高いと造りにくいのだが、歴史が生み出す技術は確かなよう。
原酒で全国新酒鑑評会にも出品したところ金賞、ベルギーで行われた今年のモンドセレクションでも金賞という相次ぐ快挙から、予約が殺到。今年は去年の倍近くは仕込むそうだ。
純米大吟醸 太平山天巧
720ml/2500円
■
天寿酒造
(TEL 0184-55-3165)
――社員総出の酒米づくり
鳥海山の中腹、矢島町に位置する同社では、昭和58年から酒米研究会を立ち上げ、町内27軒の農家と提携して酒米作りに取り組んでいる。
「地元として最高の酒づくりは何だろうと考えた時、やはりこの地域に根付いた米を使うことではないかと考えて」と代表取締役社長の大井建史さん。8月より新発売の『純吟天寿』は、この研究会産の無農薬栽培米・美山錦100%の純米吟醸酒。落ち着いた柔らかい甘みが飲み手をほっとさせてくれる。
鳥海山を一望できる栽培田で生活排水が一切入らない好条件の下、アイガモ農法で育てられた美山錦は「収量は少ないですが、杜氏によると発酵に怩ヒばり揩ェあるそうですよ」とのこと。
長期発酵にいい影響を及ぼしているようだ。
純吟天寿
720ml/2000円
山形県
■「初孫」醸造元
東北銘醸
(TEL 0234-31-1515)
――文字通り“切れる”銘酒
鋭い名前が印象的な『純米酒 魔斬』。
魔斬(かつては間切と書いていた)とは山形県酒田地方の漁師が鮭やイカを捌く時に用いた小刀のこと。
縁起物にもなっている。
「この純米酒はもともと、ひょんなことから生まれた商品なんですよ」と秘密を明かしてくれた取締役営業部長の後藤誠さん。
昭和62年の仕込みの時くみ水を通常より多く入れてしまい、なかなかもろみの発酵が進まなかった。
「ところがそれが逆に功を奏して、長期発酵となり、ウチの純米酒では変わり種で非常にキレ味がよくなったわけです」。
名前も、このキレ味から由来しているそうだ。
旨みがありながら、スッキリとした味わいの『純米酒 魔斬』は、酒田で捕れる魚貝類とも相性がいい。
純米酒 魔斬
720ml/1200円
■
鯉川酒造
(TEL 0234-43-2005)
――蔵見学は田んぼから
「造り酒屋と地元農家は仲良くしないといけない」という代表取締役社長の佐藤一良さん。
9割以上の原料米が地元産という同社では、「米作りからがウチの酒造り」と蔵見学は田んぼがスタート地点だ。
亀の尾をはじめ、雪化粧、美山錦などの米が契約栽培田で作られ、杜氏や蔵人が作ったお米も多い。
ワインアドバイザーでもある佐藤社長は「ワイン業界にある原産地呼称制度なども参考に、付加価値のある酒造りをしていきたい」という。
「いい感じに熟成が進んできたので」とこの秋出荷するのが雪化粧、美山錦精米歩合55%の純米酒。
「ふくらみがあって、香りは控えめ。燗してみたいなあと思うお酒です」。写真は、亀の尾創選者・阿部亀治翁に捧げる『純米大吟醸 阿部亀治』。
純米大吟醸 阿部亀治
500ml/2427円
■
六歌仙
(TEL 0234-42-2777)
――最先端の鮮度管理に
杜氏や蔵人独特の勘と最新技術をうまく調和させ酒造りに取り組む六歌仙。
「肉体労働が減った分、キメ細かい管理に目を配ることができるようになりました」と代表取締役の松岡茂暎さんは言う。
積極的に取り組んでいる生酒の鮮度管理については「生野菜と同じで、採れたて、つまりしぼりたての最高の美味しさをそのまま飲み手の口まで運ぶことが大切」と営業企画ブランドマネージャーの松岡茂和さんは力説する。
冷蔵貯蔵はもちろんのこと、現在、生酒ブランドを中心に6蔵共同で蔵からその土地まで5℃に保ちながら運ぶチルド輸送を行う。
この秋おすすめの『山法師純米ひやおろし生詰』を含め、いずれはすべてのブランドに導入したいと茂和さんは語る。
山法師純米ひやおろし生詰
1.8L/2900円
■
出羽桜酒造
(TEL 023-653-5121)
――気がつくと側にある酒に
吟醸酒のパイオニア的存在が『桜花吟醸酒』。
「マニアしか飲めないお酒は造りたくない」といつでも誰でも手が届くことを必須条件に醸し続けるロングセラー商品である。
「ウチは生酒が中心。
デリケートなので、ちょっと間違うとすぐ生ひねになる。
そこで劣化の原因となる酸素を生酒から抜き取る工程を採用しています」と佐藤陽介さん。
それがメーカーと共同で開発した膜脱気装置だ。
中空系フィルターを通し液体中の酸素だけを抜き取る仕組みで、これによりしぼりたてに限りなく近い状態を長く保つことができるようになった。
配達の際に、保冷効果の高い段ボールや1箱ずつの氷冷剤を使用するなど、きめの細かい心配りは嬉しい限りだ。
桜花吟醸酒
720ml/1250円(本生1320円)
宮城県
■「浦霞」醸造元
佐浦
(TEL 022-362-4165)
――TPOに合わせた商品
「お酒の特性に合わせて、飲み方も様々に提案していかないと」というのは代表取締役の佐浦茂雄さん。
例えば、香りを控えめに、旨味のある『浦霞 禅』は食事をしながら飲むお酒として、華やかな印象の『浦霞 大吟醸』などは食前酒として、TPOに合わせた商品づくりが大切だという考えだ。
同社の大吟醸クラス『浦霞エクストラ』『浦霞 大吟醸』『浦霞 純米吟醸』は新酒としてはそれほど出荷せず、春、夏、秋の熟成具合を確かめながら、11〜1月の期間に味がのってきたものから順に出荷していく。
昔は小タンクで貯蔵していたが、10年前より瓶詰めにして5〜6℃の冷蔵庫で貯蔵される。
この方が香りはフレッシュなままに、味わいはまろやかなお酒に仕上がるのだそうだ。
浦霞 純米吟醸
720ml/2910円
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