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2001年12月号 掲載
広島県
広島のお酒は口当たりの柔らかい旨口の酒として、広く親しまれている。明治中期、安芸津町三津村の酒造技術者、三浦仙三郎が地元の水にあう、軟水醸造法を開発したことにより生まれた味わいだ。秋晴れのもと、地元に根ざし、うまい酒造りを貫く蔵元をめぐった。

賀茂泉 純米大吟醸 生酒(期間限定) 賀茂泉酒造 (TEL 0824-23-2118)
――キレのいいあと味の純米酒

全国にある純米酒造りに情熱を燃やし続ける蔵の最右翼といっても過言ではないのが、ここ賀茂泉。前垣壽男社長は「蔵の方針を変えない努力、そしてそれをアピールし続けることがとても重要なのです」と話す。近年の家庭料理には季節感や地域性が無くなってきていると言われるが、「日本酒も同じで、情緒や季節を感じながら呑むことが少なく、非常に残念でならない」とのこと。地道な造りと販売、食文化の代表であることの誇りなど、これら全てを見つめ直すことで蔵の独自性も見えてくるはず。「うちのポリシーは原料米の旨味を十分引き出しながら、料理の味を邪魔せずあと味のキレのいい酒をつくることです」と前垣社長。飲み手にもこの情熱がきっと感じられるはずだ。
賀茂泉 純米大吟醸 生酒(期間限定)
720ml/2500円

玄米酒「の」 賀茂輝酒造 (TEL 0824-22-2537)
――独想的で多様な味わい

創業明治28年。独自のスタンスで酒造りに取り組む蔵元だ。「少量でも多品種の酒造りを目指し、いまは杜氏も置かず、発想の柔軟な若い子が酒を造っています。結構面白い酒が生まれてるんですよ」と専務の財満次洋策さん。「清酒のイメージが固定されたままでは発展しない」と、米作りからはじめたり、酵母をいろいろ代えてみたりと、清酒を柱に米から作れるものは何でもつくってやろうと、いろんなことに取り組んでいる。古代米の赤米で醸した赤米酒、また玄米をほとんど磨かず自然のままに、昔のままに仕込んだ玄米酒『の』はフルーティで果実酒のような味わい。酸味が強く肉料理などにあうという。ブルーのボトルに、のびやかな「の」の字が鮮やかに映える一本。
玄米酒「の」
720ml/1000円

賀茂鶴 本醸造 辛口 賀茂鶴酒造 (TEL 0824-22-2121)
――本質を極め変化に対応

創業元和9年(1623)。いち早く東京市場に乗り出し、全国にその名を広めた。生産量は高く商品アイテムも数多いが、寒仕込みに徹し、木製のこしきや和釜を使用するなど伝統的な日本酒造りを頑固に守り続けている。「消費者の目は確かです。本質的な酒造りを見据え、その上で、変化への対応も忘れてはならない。新しいタイプの酒にも目を向け、季節感をもった酒の提案、物語性のある酒など巾のある酒造りをしていかねばならないと思います」と、代表取締役副会長の金村敦夫さん。新タイプの日本酒は『冷温蔵生囲い』や『豊醇冷酒』など。『本醸造辛口』はアルコール分14〜15%でコクのある中にすっきりとしたキレのよさをもち、賀茂鶴の新しい味わいを醸し出している。
賀茂鶴 本醸造 辛口
720ml/800円

大吟醸原酒 神髄 西條鶴酒造 (TEL 0824-23-2345)
――商品が育てる銘柄

天保元年創業。天保井水の中硬水で醸す本蔵、軟水で醸す郊外の五郷蔵を構え、これら2種の原酒をブレンドする独自の酒造りが特長。県内産のこいおまちや千本錦、農林22号など酒造好適米を大量に使用し、熟練した杜氏の技で、目指す酒質に合う原料米を選んで使用する。代表取締役社長の伊野本孝允さんは「商品が銘柄を育てると私は思っています。高品質の良い酒をコツコツ造っていくうちに、消費者に支持していただける商品が育つのではないでしょうか」と話す。その言葉を裏付けるように、『大吟醸原酒 神髄』は3年連続モンドセレクション金賞受賞。『ゴールド西條鶴(吟醸)』も2001年度の金賞を受賞。いずれも抵抗なくすいすい入る極上の逸品である。
大吟醸原酒 神髄
720ml/5000円

一正宗燗あがり吟醸 ■「一正宗」醸造元 中国醸造 (TEL 0829-32-2117)
――食卓の場を作る日本酒を

大正7年創業の蔵元。今年6月、中国地区の酒類メーカーとしては初のISO14001を取得。主宰の「なまざけ倶楽部」では料理との相性を提案したり、春と秋にはお酒の頒布会を行ったりと、きめ細かな活動を展開している。「日本酒は食卓に和みの場をつくる。この季節、ぜひ燗で飲んでもらいたいですね」と営業本部営業部長の日高克志さん。今秋の頒布会では、こいおまちを50%まで磨き上げた純米大吟醸、燗あがり吟醸酒など様々な味わいのお酒を送り出した。「いいものを手頃な価格で提供したい」と宣伝企画課主任の竹内正臣さん。燗あがり吟醸は、人肌くらいに温めるとほどよい香りと柔らかな口当たりが楽しめる。
一正宗燗あがり吟醸
720ml/頒布会用

白牡丹 本醸造しぼりたて生酒 白牡丹 (TEL 0824-23-2202)
――軟質米の甘口酒が身上

創業は江戸初期。酒造りの本場、西条で最も歴史のある蔵元のひとつだ。戦後、一貫して普段の晩酌の酒にこだわり、伝統の技を生かしながら近代設備も導入した酒造りを続けている。麹をしっかりつくり、米をある程度溶かしていく軟質米を生かした甘口の酒が身上。加圧蒸米機を独自に開発し、これにより理想的な蒸米ができるようになったという。「私どもの強みは普通酒です。今からの時代は酒の特長を表現していくことが大切。広島酒のよさをアピールしていきたいですね」と、専務取締役の島靖英さん。『白牡丹 本醸造しぼりたて生酒』は、芳醇な香りとまろやかですっきりとしたあとくち。生酒ならではのうまみが舌の上ではじけて、すっと消える白牡丹ならではの旨酒だ。
白牡丹 本醸造しぼりたて生酒
720ml/1000円

大吟醸 西条酒造学校 福美人酒造 (TEL 0824-23-3148)
――大吟醸を育てる技術

大正6年、酒造家有志が集まり酒造業界初の株式会社として発足。創業してまもなくの全国酒類品評会で連続して最高位を獲得し技術の高さを知らしめた。これを機に酒造技術者を養成する実践醸造場に指定され「西条酒造学校」と呼ばれた実績をもつ。現在も、ていねいな酒造りに徹し、技術を磨き続けている。
「真面目な酒造りにはコストもかかる。これは大切なことです。私どもでは大吟醸酒がよければ技術がしっかりしていることだと考えています。今夜は家で福美人飲むぞっていってもらえたらうれしいですね」と専務取締役の角本久二勝さん。
『大吟醸 西条酒造学校』は兵庫県産山田錦を35%まで磨き低温長期の吟醸仕込みで、香り高くなめらかな味わいだ。
大吟醸 西条酒造学校
1.8L/5000円

龍勢 特別純米 ■「宝寿」醸造元 藤井酒造 (TEL 0846-22-2029)
――自然の恵みの授かり物

創業以来約140年、竹原市の景観保護区にあり、一部をギャラリーとして開放して販売コーナーも設置、昔ながらの佇いを今に伝える蔵元だ。現在の杜氏は藤井雅夫さん。蔵を継いだ3人兄弟の真ん中で、謙虚に酒造りに取り組んでいる。「日本酒造りは奥が深い。私が担当して今年で7造り目を迎えますが、同じように造っても同じには仕上がらない。そこが面白いですね。炊き立てのごはんみたいな、日本人でよかったと思うお酒を醸すのが、私の課題です」。三人兄弟にちなんだ『三人文殊 純米』は、酸味のきいた熟成したうまみをたたえ、『龍勢 特別純米』は五味のしっかり感じられる辛口酒。気取らない酒造りを目指す、杜氏の人柄がうかがえる味わいだ。
龍勢 特別純米
1.8L/2500円

うるおいカクテル レイズ・シャワー ■「千福」醸造元 三宅本店 (TEL 0823-22-1031)
――日本酒の本格カクテル

ずいぶん以前から、色のあるお酒をつくりたかったんですよ」と営業部課長の梅木均さん。10月1日に新発売された日本酒のカクテル『レイズ・シャワー』は、呉市内のバーテンダーでICCインターナショナルカクテルコンテスト世界第3位の横山守さんがプロデュースした本格派だ。酒造では150年の歴史を誇る専門家だが、リキュールの作り方は門外漢。そこで技術者を工業技術試験場に派遣して徹底的に研究し、消費者アンケートで味と色を決め、ついに完成。ピーチ、レモン、グレープの3種あり、それぞれのフルーツ・フレーバーが利いた、全く新しいソフトな日本酒カクテル。女性がほっとくつろぐ時やパーティシーンでの活躍が期待できそうだ。
うるおいカクテル レイズ・シャワー
各250ml/250円

三吉正宗 直右衛門 純米吟醸 三吉酒造場 (TEL 0849-54-3661)
――直右衛門襲名の記念酒

福山市内、よい湧水の出る茶山という小高い山の中腹にある。慶応2年の創業。三吉のお酒は香り高く芳醇で、こあじのきいた酒として知られているが、新しい酒造りにも取り組み、大型低温貯蔵設備を導入し、『常興』など大吟醸酒の低温での長期瓶熟成を実現、また、原料米を生のまま新酵素で発酵させた『生米仕込み』は、身体にやさしい日本酒だ。このほど、4代目三吉和重さんが、代々受け継がれた直右衛門を襲名、「福山周辺に販路を固定し、特定名称酒に力を入れていきたい」と語った。記念に発売した『三吉正宗 直右衛門 純米吟醸』は、広島県産のこいおまちを60%精白し、広島で開発された新酵母せとうち21を使用。安芸津杜氏の技が光る一本だ。
三吉正宗 直右衛門 純米吟醸
1.8L/2800円

特別純米酒 白鴻 ■「白鴻」醸造元 盛川酒造 (TEL 0823-84-2002)
――小蔵ならではの酒造り

野呂川沿いの長閑な田園風景のなか、瀬戸内の最高峰・野呂山の麓にある創業明治20年の蔵元。この山から流れ出る豊かな伏流水・上質の極軟水で、広島杜氏伝統の酒造りを守り続けている。「小さな蔵だからこそできることを、着実に見つめていきたいですね」と、6代目の盛川知則さん。その1つが、県内を中心に、丹精こめたお酒を大事に扱ってくれる酒販店をまわっての直取引だ。『大吟醸 沙羅双樹』は、盛川さんが田地まで何度も出向き、稲の生育状態を調べた兵庫県内屈指の特A地区産の山田錦を使った、盛川酒造渾身の一本。『特別純米酒 白鴻』は広島県産の八反を使用、常温でも冷やしてもぬる燗にも向く、やわらかな口当たりの本格派志向だ。
特別純米酒 白鴻
1.8L/2500円
 


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