|
|
2002年1月号 掲載 |
 |
 |
北海道 |
|
 |
雪がしんしんと降る寒い日に、居酒屋に入り、眼鏡をくもらせながら燗酒をいただく。帰る時に、がらっと扉を開けると、雪が止んで、すきっと澄み切った空気に出会えるとき。あれは最高の酔い覚めですよ、と教えてくれた人がいた。また、Tシャツ一枚で過ごせるくらいに暖房で温めた部屋で、冷えた、濃いめのビールをぐいっと一杯。これぞ、冬のビールですよ、と言う人もいた。
外は一様に寒くとも、冬の北海道の楽しみ方は、人の数だけバラエティ豊かだ。そんな北海道の、この季節おすすめのお酒、是非、訪れたいスポットをご紹介。 |
|
 |
■十勝ワイン (TEL 01557-2-2467)
――ようやく誕生した新品種
昭和38年醸造免許取得以来、地ワイナリーの先導役を担う北海道池田町ブドウ・ブドウ酒研究所。現在も十勝に適したぶどう品種を生み出すべく、1年に何千もの交配実験を繰り返す毎日だ。「交配が成功し、やっと育った苗でも、毎年きちんと育ち、そのぶどうでワインを造り味を確かめる段階までに20年はかかるんですよ」と営業課課長の川口政憲さん。その過程を経て、最近町の奨励品種に指定されたのが「山幸」。耐寒性に優れた山ぶどうと、池田町のオリジナル品種「清見」を交配させた品種で、野生味あふれるワインが出来上がるという。たっぷり瓶熟成させたそのワインのお披露目は2003年を予定。写真はデイリーワイン『トカップ』を1年半熟成させた『同
プレミアム』。 |
トカップ プレミアム
720ml/1200円 |
|
 |
■男山 (TEL 0166-48-1931)
――冬ならではの生酒
海外の酒類コンクールにて25年連続金賞受賞という偉業を成し遂げ、波に乗る同社。世界に認められた技術で醸す、冬の限定酒がうすにごりの特別純米酒生酒『雪しばれ』だ。「道内の人はたいてい寒がり。家の中ではTシャツで過ごせるぐらい暖房をかけます。暑いほどの家の中で、しばれた朝のダイヤモンドダストを思わせる、薄くかすんだ『雪しばれ』で一杯。なかなかいいですよ」と企画管理室室長の山崎裕之さんはいう。ダイヤモンドダストが旭川のあちこちで見られるようになる頃、催されるのは毎年恒例の酒蔵開放(2月10日)。麹の甘酒、かめ仕込みの酒など限定のお酒の無料試飲のほかすりの見学などイベントも盛り沢山だ。 |
特別純米「雪しばれ」
720ml/12400円 |
|
 |
■金滴酒造 (TEL 0125-76-2341)
――酒造好適米・吟風を醸す
しんしんと冷え込む厳しい寒冷地帯の清浄な空気包まれた新十津川町にある、味自慢・金滴酒造。当蔵は、1993年の酒米不作の時に、道産米「きらら397」を本格的に使用し、現在では原料米全体の95%が道産米を占める。そして、その半分は新十津川産米である。常務の関昭彦さんは、「昨年より北海道初の酒造好適米である吟風で酒造りを始めました。中でも新十津川町で穫れるものは最上の品質で、仕込んだ酒も旨い」と、当蔵の酒造りへの姿勢を語る。新十津川産の「吟風」を100%使用した大吟醸『微笑一献』は、やや辛口で、すっきりした飲み口の爽酒である。また、写真やイラストを用いたオリジナルラベルの酒にも注力している。 |
大吟醸「微笑(ほほえみ)一献」
720ml/2800円 |
|
 |
■北の誉酒造 (TEL 0134-22-2222)
――素材を生かした料理向け
北海道産の日本酒は全体的に淡麗でさらっとした味わいが多い。これは「魚でも野菜でも新鮮さがウリの北海道では、素材を生かした料理が多い。そういう味には淡麗で、きれいな味の日本酒の方が合うからです」と営業企画部次長の森俊夫さん。地の肴に合うだけでなく、より地元らしい日本酒をと、道をあげて酒造好適米の研究を続けてきた結果、平成10年には「初雫」が、平成12年には「吟風」が誕生した。『酒星』はこの吟風を100%使用した純米吟醸酒。「酒造好適米は減反政策の対象外となるので、農家にとっては有り難い米です。寒冷な北海道では農薬は他県の3分の1ですみますし、稲作を続けることで水環境も守ることができます。今後北海道からいい好適米がさらに作られるのではないでしょうか」。 |
純米吟醸「酒星」
720ml/1060円 |
|
 |
■「千歳鶴」醸造元 日本清酒 (TEL 011-221-7106)
――すっと染みいる軽快な酒
明治5年創業の同社に昭和24年から入社した津村弥さんは、現代の名工として労働大臣表彰を受けた名・翁杜氏。「酒造りは55年目ですが、極めたという感はないですね」と謙遜するが、今までの経験をすべて自筆で書き記し、酒造の心得としてまとめるなど後継者育成に余念がない。「背中を見て覚えろ」ではなく、自分の知識はすべて伝えていく姿勢は、職人の新しい在り方を思わせる生き様だ。そんな津村さんが最近嬉しく思うのはやはり道産の酒造好適米の誕生。特に八反錦ときらら397の流れを汲む「吟風」は造りやすく、秋あがりするお酒になるという。「吟風を使った大吟醸『雪原の舞』は非常に柔らかい味わいです。吟風に限らず、すっと身体に入っていくような軽快なお酒が目標」と尽きぬ夢を語った。 |
大吟醸「雪原の舞」
720ml/1800円 |
|
 |
■「北の錦」醸造元 小林酒造 (TEL 01237-2-1001)
――北海道ならではの酒造り
なだらかな丘陵が連なり、夕張川が流れる静かな町・栗山町にある小林酒造は、明治11年創業の北海道最古の酒蔵である。北海道でしか醸せない酒にこだわり、山田錦に負けない道産米での酒造りが使命と考える、杜氏の脇田征也さんは「長年、北海道の蔵元が道産米を使わないで北海道がよくなるはずはないと危惧していた中、酒造好適米に指定された初雫や吟風での酒造りが始まりました。売れ行きも好調で、ようやくお客様に認めて頂けるようになったのではないでしょうか」と、大切に醸された酒への思いを語る。その酒は、新酒鑑評会で金賞に輝いた、限定5000本の特別純米酒『北海二七八』。米と人と水の全てに北海道が詰まった、深い想いに酔いたい酒だ。 |
特別純米「北海二七八」
1.8L/2200円 |
|
 |
■ニッカウヰスキー北海道工場 (TEL 0135-23-3131)
余市郡余市町黒川町7丁目6
――地元に愛される蒸溜所
創業者である竹鶴政孝氏がここぞと見込んだ余市に佇む蒸溜所。15万平方mの敷地に建てられた石組の各棟では、1934年当時からのウイスキーへのこだわりが今も生かされている。例えば、蒸溜はガスではなく石炭。そして石狩平野で育まれたピートが使用され、できた原酒は低い天井と土間のある貯蔵庫で眠る。こうして造られる余市の原酒は「非常に濃いのが特徴ですね。ハードで男性的です」と工場長の山地博明さん。政孝氏の地元への貢献もあり、余市の人々から愛され続ける同蒸溜所で「造り手がこれはいいと信じられるもの、そして10年後も変わらず高い評価を受けるようなウイスキーを今後も造っていきたい」と語ってくれた。 |
竹鶴ピュアモルト12年
660ml/2450円 |
|
 |
■サッポロビール博物館 (TEL 011-731-4368)
札幌市東区北7条東9丁目
――冬のビールの美味しい飲み方
1890年に建設された赤れんが造りの建物を生かした、日本で唯一のビール博物館がここ。ビールというと「夏」のイメージが強いが、もともとは冬のものだったと教えてくれたのは同館館長の今堀忠国さん。「冷凍庫のなかった125年前の創業当時は貯氷庫があり、ここにのこぎりで切り出した豊平川の厚い氷を保存して、発酵や貯酒に使っていました。北海道で日本のビール造りが始まったのは、夏でも氷を保存できたからなのです」。このことは館内のパネルでも解説されている。寒い冬は、酔いの立ち上がりを早くするためにエキス分もアルコール分も高めのビールがおすすめ。冷蔵庫から出して少し置いた8〜10度位がベストだという。風邪にはギネスと卵の黄身を使ったカクテル「エッグ・ノッグ」がよく効くのだそうだ。 |
|
 |
■アサヒビール北海道工場 (TEL 011-863-3515)
札幌市白石区南郷通4丁目南1-1
――最新技術を導入
ポプラやハルニレなど、まだ若い木々に囲まれた巨大な建物が、01年5月にリニューアルされたばかりの同工場。「何はともあれ鮮度に気を使った」と北海道支店支店長付顧問の安味元彦さんが言うように、より新鮮で美味しいビールを造るための最新技術が至るところに。例えば、仕込行程の段階で原料を底から入れる「底入れ方式」で、酸素の溶け込みを防ぐシステム、350ml缶で1500/分と従来速度の約1・7倍になった缶詰ラインなど。工場内はバリアフリー化も徹底しており、通路の階段をなくしたり手すりを設置。パネルは低めに取り付けられている。基本的な手話のできる案内担当者も常駐。実物大の仕込み釜、ダイナミックな貯酒タンク群、缶詰めラインなど必見。見学は要予約。 |
|
|