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2003年3月号 掲載 |
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| 日本経済混迷の中、酒類業界は依然、厳しい状況が続いており、日本酒の世界はとくに冷え込んでいる。これまでにない発想の新製品の開発や、ライフスタイルの多様化に沿った日本酒のあり方を提案することがこれまで以上に不可欠であろう。前向きに、そして明るく頑張っている各地を代表する蔵元の声を届ける。 |
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茨城県 |
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■石岡酒造 (TEL 0299-26-3331)
――遊び心を加味する
今年のテーマは“安心・安全”。消費者にとって安心、かつ安全な酒。つまり品質や衛生面を再認識した酒造りを目指している。加えて、従来からの遊び心をくすぐる製品が好調。新聞紙で包装した、槽口の『無濾過無調整本生原酒』シリーズ。一般の新聞紙を手作業で包むので1本ずつ異なり、パーソナリティーが高まる。「新聞紙の酒」が口コミで広がり、受注に追われたそうだ。
また、専務取締役の冷水豊国さんは「家庭で燗をする人が少なくなり、お燗の仕方が分からないようです。日本酒の楽しみ方を広げていくため、原酒をお湯で割って燗酒のように温かく、その上、好みのアルコール度数にできる、こんなお酒と飲み方を提案していきたいですね。」とアイデア豊富だ。
2月以降、特別純米、大吟醸等随時発売予定。 |
槽口純米吟醸
無濾過無調整本生原酒
720ml/オープン価格(1月限定販売) |
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■白菊酒造 (TEL 0299-26-4131)
――地元で愛される晩酌酒
「江戸時代から石岡の水が醸造に適していると言われており、明治の頃、酒屋10軒、醤油屋10軒あったと聞いています。当社では地下水脈が3層あり、今でも水源は豊富です」と常務取締役の柳誠さん。水は井戸水を使用し、米も地元で栽培したものを中心に造っている。
お薦めは、純米吟醸『つくばの紅梅一輪』。控えめな香りで飲みやすいと評判だ。「その蔵の特徴は、純米酒が一番出やすいので、これを飲むと分かりやすいと思います。ただ当社は上等な酒よりは、毎日晩酌で飲んでもらいたいという思いから、特定名称酒より普通酒のラインナップが充実しています」と。年々、特定名称酒の比率が高まる中、気軽に楽しめる晩酌酒を重点的に酒造りをしている貴重な蔵元といえる。 |
純米吟醸「つくばの紅梅一輪」
720ml/1500円 |
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■府中誉 (TEL 0299-23-0233)
――幻の酒米・渡船を復活
7代目蔵元、代表取締役の山内孝明さんは、「3年前から、私が杜氏をしています。杜氏に来てもらっていた頃に比べ、消費者のニーズを捉えた酒造り、品質面でもフィードバックしやすくなりました。ただ、多様化しすぎているので、見極めが難しいですが」と話す。
地元の酒としてのこだわりは、人だけでない。八郷町の農家と一緒になって、幻の酒米“渡船”を見事、復活させた。恣n船揩ヘ、山田錦の親にあたる酒米で、栽培は難しく、酒造りにおいても手間暇かかる。味がのりやすいという、この酒米の特質を熟知熟慮した集大成、純米吟醸『渡舟ふなしぼり』。米本来の旨味がよくわかる酒だ。口当たりは、濃醇で味にふくらみがあり、肉厚感がある。酒党に、飲んで欲しい逸品だ。 |
純米吟醸「渡舟ふなしぼり」
720ml/2000円 |
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■石川酒造 (TEL 042-553-0100)
――酵母の違いを楽しむ
『多満自慢』醸造元、1863年創業。地ビール『多摩の恵』醸造。
中でもお薦めは『酒は楽しく』のシリーズ。このシリーズは1999年から販売しており、最初の頃は、“生”と“火入れ”の違いで、味や香りがどう違うかを楽しんだり、消費者にこれらを知ってもらうため造ったそうだ。
「今年は米、タンクなど全て同じで、酵母だけを変えてみました。酵母に合わせた麹の造り方があるので、突き詰めすぎると、ちょっと困りますが」と、代表取締役社長の石川太郎さん。このシリーズは、肩入れのところに「徒然草」の冒頭部を入れて、履歴書をつくっているという。人気が高いのでぜひ飲んでみたいという方は、蔵内の売店で購入が出来る。 |
多摩自慢 純米原酒二年熟成
1.8L/2500円 |
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■小澤酒造 (TEL 0428-78-8215)
――新桶で初仕込みに挑戦
元禄15(1702)年創業、昨年300周年を迎えた蔵である。創業初年に酒蔵の裏手に植えられた杉が、さすがに樹齢300年の寿命を迎え、昨年、伐採した。その杉木で作った酒桶で、今年、初めて酒を仕込む。
「ここ50年、どの蔵も新桶は作っていないと思いますよ。実際、桶作りの職人さんもこれが最後だろうと感激していました。ただ、桶というのは3年くらい造りが安定しないので、今年はどんな酒が出来上がるやら。年々、違いを楽しむ心構えで造っていきます」と、気負い無く語る、代表取締役の小澤順一郎さん。伐採シーンから桶の搬入までの希少な工程は、ホームページで公開しており、澤乃井ファンはもとより、搾りを待ち望む声が届けられている。 |
澤乃井 純米大辛口
720ml/1100円 |
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神奈川県 |
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■熊澤酒造 (TEL 0467-52-6118)
――湘南に残る唯一の酒蔵
吟醸クラス以上しか造らず、年間500石が限界の蔵で醸される『天青』。その意は、雨上がりに雲が破れるように晴れ始めた、辺りの空の青さ。酒質も突き抜けるような爽やかさと潤いに満ちた味わいである。
敷地内には、蔵元創作料理〔天青〕、地ビール〔湘南ビール〕の工房、ビアレストラン〔湘南麦酒酒蔵〕、ベーカリー〔パン・ア・ラ・ビエール〕がある。酒蔵の廃材を再利用していながら、今までにないお洒落でスタイリッシュな空間だ。
代表取締役の熊澤茂吉さんは「伝承の酒蔵文化と洗練された茅ヶ崎、相反するイメージを融合させ、独自の世界を創っていきたいんです。あくまでも蔵元なので、酒には当然こだわっていきますよ」と、熊澤ワールドの構想は尽きない。 |
純米吟醸「千峰天青」
720ml/1500円 |
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■黄金井酒造 (TEL 046-248-0124)
――地元と共生
丹沢山系の名水で仕込む酒は、全般的に柔らかな口当たりで、すっきり切れる後味が特徴。その大部分が地元、厚木市をはじめ、神奈川県内で消費され、“あつぎの酒”として親しまれている。
常務取締役の黄金井康巳さんは「消費者ニーズや嗜好が多様化する中で、品質重視の丁寧な酒造りと蔵元と日本酒ファンとの触れ合いや交流を大切にしてゆきます」と語る。
毎年3月開催の“新酒まつり”に加え、今年の新しい試み“酒蔵体験と酒”では、醪の様子が見学できる。蔵に愛着を持ってもらい、日本酒への興味が深まるきっかけになるよう、継続的なイベントとして計画中。
醸造技術を活かした地ビール『さがみビール』は、併設ビアパブ〔セルバジーナ〕や通販でも楽しめる。 |
大吟醸「盛升」
720ml/3495円 |
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