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2003年11月号 掲載 |
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鳥取県 |
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昔、東は「因幡の国」、西は「伯耆の国」と呼ばれていた鳥取県。日本海に面し、雄大な鳥取砂丘、「伯耆富士」と呼ばれる中国地方最高峰の大山、「因幡の白兎」で知られる白兎海岸など、見どころも数多い。
今回は、果物や海産物にも恵まれた自然豊かなこの土地で、地元ならではの特色あるお酒を育む鳥取の蔵元を訪ねた。 |
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■諏訪酒造 (TEL 0858-75-0618)
――品質本位の酒造り
智頭町で唯一の造り酒屋である諏訪酒造。林業のさかんなこの町では、智頭駅のホームや家々の軒先にも杉玉が見受けられる。「地元メーカーだからこそ地元でしっかりとやっていきたい」という代表取締役の南條倫夫さん。鳥取県産米の玉栄を中心に山田錦などの良質な米を用い、仕込み水は、千代川の伏流水を自家井戸より汲み上げ、無濾過・無添加の状態で使用している。品質本位の酒造りをモットーとし、地元に根強いファンをもつが、特に吟醸酒は県外のファンが増えているそう。なでしこ、たんぽぽ、ばらの花といった花の酵母を使用するなど技術開発にも余念がない。『諏訪泉
純米吟醸
満天星』は、玉栄を主体として麹米には山田錦を使用し、鳥取の書家・柴山抱海氏による特徴あるデザインのラベルが目印のお酒。「玉栄を使用することですっきりした酒になるんです」と教えていただいた。 |
諏訪泉 純米吟醸 満天星
1.8L/3000円 |
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■中川酒造 (TEL 0857-24-9330)
――幻の酒米「強力」復活
県庁所在地鳥取市で、江戸時代より続いている中川酒造。昭和20年代後半から姿を消してしまった、因幡地方でだけ生産されていたという幻の酒造好適米「強力」を復活させ、平成元年より強力のみ用いた『いなば鶴』を新たな銘柄に加えた。「強力は、地酒の原点とも言える、地域性がはっきりしている米です。強力は成分以上に味がのる米です」という無限責任社員の中川盛雄さんは、「強力を育む会」の幹事も務め、農家や他の酒造メーカーなどとともに強力を守り、育てることにも力を注いでいる。
仕込みには、近くの源太夫山からパイプを約200m通して引いてきた水を汲み上げて用いている。
『福寿海 大吟醸 斗びん囲い』は、数々の賞に輝いてきた『福寿海』の最高峰のお酒。袋吊りによる滴酒で、雑味が少ないのが特長である。 |
福寿海 大吟醸 斗びん囲い
1.8L/9700円 |
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■君司酒造 (TEL 0857-23-3471)
――名水を使い分けた仕込み
米と水との特徴を引き出し、飲みごたえのあるお酒を造る君司酒造。お米は玉栄を中心として、五百万石、山田錦などを用いているが、4年前より鳥取県産米の強力も使い始めた。水は、因幡の名水百選である気高町の布勢の清水、国府町の雨滝の水、氷ノ山山系の水など、お酒の特徴に合わせて水を使い分ける。常務取締役長戸浩さんはお酒の味わいについて「秋を過ぎると水の力に引っ張られていくなぁと感じます」と話してくれた。氷ノ山山系の水で仕込まれた『大吟醸霞の郷』は、玉栄を45%まで磨き上げて造られる。よりふくらみをもたせるために、梨の貯蔵研究から生まれた氷温熟成の技術を応用し、マイナス2度で2年以上かけてゆっくりと熟成させる。辛口でありながら、味わい深く、お米の旨みの感じられるお酒である。 |
大吟醸 霞の郷
720ml/1553円 |
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■千代むすび酒造 (TEL 0859-42-3191)
――冬までおいしいにごり酒
境港で、慶応元年の創業以来、140年の千代むすび酒造。健康食ブームも相まって、アメリカへも輸出しているとのこと。仕込みにはすべて隣県の島根県大東町の清冽な水を用いるため、仕込み時期には毎日専用タンクで運ぶという。お米はいくらかの兵庫県産の山田錦を除いて鳥取県産米を用い、自家精米を行って酒造りを行っている。純米吟醸で用いている鳥取県産米の強力は、「米自体は硬くて、最初のうちは味のりが良くないのですが、じわーっときいてきます」と代表取締役岡空晴夫さん。蒸し方や浸漬時間などに気を使っているそう。強力で造った『純米吟醸強力おおにごり』は、普通にごり酒といえば春頃までに味わうイメージだが、これは5月に発売して冬までおいしく味わえる、強力のじわっと味がのってくるという特長を生かした味わい深いお酒である。 |
純米吟醸 強力 おおにごり
1.8L/3300円 |
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■江原酒造本店 (TEL 0858-52-2203)
――五味のバランスを重視
日本海の潮風薫る東伯町にある江原酒造本店。「山陰はもとより広く山陽一円に美酒として名声を響かせる」という願いを込めて「伯陽長」という銘がつけられた。大山の伏流水を豊富に用い、鳥取県産米の五百万石と玉栄を用いて酒造りを行っている。約7年前に麹室を新しくし、内装に杉を用いたとのこと。また蒸し器は和釜の方式を取り入れ、温度管理に気をつかっているという。
「一般家庭で気軽に晩酌してもらえる2000〜2500円の価格で、よりいい品質のお酒を飲んでもらいたいです」と代表取締役江原康平さんは言う。おすすめの『伯陽長純米吟醸』は玉栄を58%まで丹練に磨き、じっくり仕込んだ豊かな味わいの旨口酒。深い緑と澄んだ空気で育まれた、お米の旨みたっぷりの五味のバランスのとれたお酒である。 |
伯陽長 純米吟醸
1.8L/2039円 |
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■中井酒造 (TEL 0858-28-0821)
――安全・安心なおいしいお酒
「安全・安心なおいしいお酒」をモットーとする中井酒造。山田錦は自社水田で社員自ら作り、五百万石は近くの関金町野添地区の地元の農家の方々とともに作るなど、「お米の栽培からすべての工程において、顔の見えるような酒造りを心がけています」と取締役製造部長中井丈拡さん。そのため、消費者にもわかりやすく、商品の裏貼りには米作りに携わった人や日付などの製造履歴が詳しく記載されている。
倉吉市で初めて強力米を使用したという『純米大吟醸無濾過生原酒強力』は、地元の農業高校の学生と酒米栽培から仕込み、販売まで一緒に行った。「学習の段階でお酒造りを体験し記憶してもらって、恟ォ来飲んでみたい揩ニ思ってもらえれば、倉吉の酒の需要も増えていくと思っています」と話してくれた。 |
純米大吟醸無濾過生原酒 強力
720ml/2200円 |
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高知県 |
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高知・土佐は、南北に走る四国山脈を背に、太平洋に面した長い浜辺が続く、自然に囲まれた土地である。<br>
かつおをはじめとする、豪快な魚料理、また、酒豪といわれる土佐の女性も一緒に宴会ができるようにと考案された皿鉢料理などからも分かるように、古くから土佐には酒文化がしっかりと根付いてきた。<br>
その伝統を受け継ぎ、また新たな一歩を踏み出す元気な蔵元を訪ねた。 |
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■菊水酒造 (TEL 0887-35-3501)
――日本酒の特性をベースに焼酎文化を築く
「高知といえば、今、室戸海洋深層水が話題となっている。安芸にある菊水酒造でも、この海洋深層水を5年前から使用、『地球の贈り物』を発売している。
「まず高圧下で長期間流れ続けている水なので、極めて清浄です。雑菌がいません。そしてミネラルが豊富。熟成されているのでとてもまろやかです。微妙ですが、海洋深層水を使うとお酒の味がまろやかになり、ふくらみが出てくるように思います」と専務取締役の春田忠さん。
海洋深層水仕込み以外に、同社が最近力を入れているのは焼酎。それも、日本酒の持つ特性をベースにした焼酎造りに取り組んでいる。「極端ですが、米焼酎は発酵過程は通過地点であり、もろみになりさえすれば発酵温度はそれほど細かく問われません。そこを、日本酒造りのように20度以下に抑えて造るのが我が社の焼酎造りなんです」。そうして出来たのが純米焼酎『九十九新酒』。ひと手間加えることで、米の風味が豊かでまろやかな味わいになっている。 |
純米焼酎 九十九(つくも) 新酒
720ml/970円 |
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■酔鯨酒造 (TEL 088-841-4080)
――すっきり淡麗な味わいの高知県産酒造好適米「吟の夢」
現在、高知県内の多くの蔵元が吟醸酒用として使用している酒造好適米「吟の夢」である。高知県農業技術センターが吟醸酒用として開発した「高育54号」が出発点で、山田錦を母、ヒノヒカリを父として人工交配、育成されたものだ。
これが、「吟の夢」として1998年に品種登録されたのだが、95年より、この試験醸造を担当したのが、同社である。すでに製品化していたこともあり、同社が「吟の夢」を使った純米吟醸に『高育54号』と名付けることが認められた。『酔鯨純米吟醸高育54号』は、熊本酵母を使用、鏡川源流域の軟水の湧き水を使用し、造られている。「単に恃味しい揩ナはなく、飲むシチュエーションを考えた個性のある酒造りを目指しています。『吟の夢』も山田錦からの交配ですが、すべてのお酒を山田錦に似せる必要はない。『吟の夢』では、やわらかい味わいの中にある、高知らしい後味のキレをもっと強調していきたいですね」と工場長の石元茂治さんは言う。 |
酔鯨純米吟醸 高育54号
1.8L/3000円 |
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■司牡丹酒造 (TEL 0889-22-1211)
――日本酒を分かりやすく飲み手に伝える
『船中八策』で高知の辛口酒を全国に広め、地元で酒造好適米の山田錦栽培を手がけたりと、酒質の維持には並々ならぬ努力を傾けてきた同社が、昨今力を注いでいるのは、「日本酒の世界を丁寧に飲み手に伝える」ということだ。<br>
き酒師の仕事を手伝っていて気づいたことがあると、代表取締役社長の竹村昭彦さん。「き酒師は、このお酒にどんな料理が合うか、という発想なんですね。でも、実際の家庭生活を考えてみてください。1本のお酒を持って、さあ、今日の料理は何にしよう?
なんて考えますか。それより料理から日本酒を結びつけていった方が簡単ですよね」。
愛飲家に積極的に会い、一緒に飲む。日本酒、高知の面白さをポップな誌面で綴るフリーペーパー「オトナのご馳走」発刊、そして旬の食べ物と旬の日本酒のマッチング提案。全国を飛び回りながら、「日本酒の楽しさ」を伝えることの大切さを痛感しているそうだ。 |
司牡丹ひやおろし純米原酒
720ml/1600円 |
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■「桂月」醸造元 土佐酒造 (TEL 0887-82-0504)
――地元で飲まれている普通酒こそ“地酒”
吉野川の源流近く、静かな山間に蔵はある。全製造量のうち、普通酒の比率が99%以上。特定名称酒が大きなウェイトを占めつつある業界のなか、充分に個性的な蔵元である。代表取締役の澤田輝夫さんは言う。「普通酒なんて、今の時代、ほとんどの蔵元は重要視してませんけど、うちは今後もこれを中心にやっていきたいと思うとります」。県外用は味を変えて、みんなが同じ恣結梃き揩フ酒を造っとったら、地元の酒という地酒の意味がなくなるでしょう、とピシャリ。確かに。
普通酒のメインは『桂月
金杯』『桂月銀盃』の2種。どちらも、地元の農家が育てた米、アキツホを使用する。毎日農家と顔を合わせるから、米の素性はよく分かる。その米で造った酒を地元の人が飲む。真の恍n産地消揩セ。
「だから『桂月』の味はこれや!
という自信があるんです。どこにでも胸はって持っていきますよ」。その甲斐あって、『桂月』の普通酒は地元に限らず、都市圏でも根強い人気である。 |
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桂月 銀盃
720ml/680円 |
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■土佐鶴酒造 (TEL 0887-38-6511)
――デザイナーズボトルが日本酒の垣根を超える?
「あっ、これいいんじゃないの?」と気楽に手に取りたくなるようなイメージを大切に、創業230年の土佐鶴酒造が新しいライフスタイルを創り出すお酒として、吟醸酒『アジュール』を生み出した。「日本酒に馴染みのない人に興味を持ってもらうには、テーブルをオシャレにしてくれることが大切ですよね。それには今までの瓶形では不十分じゃないかと。それでフル・オリジナルのボトルになったわけです」と取締役総合企画部長の杉本芳範さん。独特のフォルムと爽快なブルーが自慢のボトルはロンドン在住の新鋭デザイナー作。化粧箱ではなく、青色のストライプが印象的なペーパーバッグ入りだ。中身は海洋深層水仕込みのやや辛口の吟醸酒。
企画が通ってから足掛け3年。作った過程もおもしろければ、売る過程も楽しいと杉本さんはいう。造り手自身が感じた楽しさは、必ずや飲み手に伝わることだろう。造り手も面白がることが、案外、日本の伝統酒、日本酒を再びブレイクさせるきっかけになるかもしれない。 |
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吟醸酒「アジュール」
720ml/1850円 |
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