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2005年8月号 掲載

福岡から国道3号線を南に下る。久留米から熊本にかけては日本酒文化圏。古くからの日本酒蔵が点在し、現在も美酒を造り続けている。そして、熊本南部にさしかかると、本格焼酎の文化圏に入る。まず初めに、八代から幾重もの山を越したところにある球磨地方では米焼酎。県境を越えて鹿児島県に入ると、言わずと知れた芋焼酎。そして、鹿児島の港から船に乗って一晩。明くる朝に到着する奄美の島々では、黒糖焼酎が盛んに造られている。今回は、福岡、熊本、鹿児島の蔵元だよりをおとどけしたい。

(順不同)

   

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福岡県
麦焼酎「からす」 冨安 (福岡県久留米市) (TEL 0942-43-6391)
――「冨の寿」醸造元

冨安といえば『冨の寿』などの日本酒蔵として、知られているが、ここ数年は、上質の焼酎蔵元としても名を高めている。
その一つが、黒麹・全麹仕込みの本格麦焼酎『からす』。通常、麦焼酎とは、米麹に酵母を加えて一次もろみを造り、そこに麦を加えていくが、この酒は全量麦麹で、いわば、沖縄の泡盛を麦を原料に造っているといえば、分かりやすいだろうか。今までにない深い香りと味わいは、こういう新たな発想から生まれてくるのだ。
また、新たな試みとして、冨安信夫常務と社長室長の冨安宏紀さんらが取り組んでいるのが花酵母。香り高い新商品はまもなく完成ということなので、楽しみにしたい。
麦焼酎「からす」
720ml/アルコール分25%

胡麻祥酎「甕囲」 紅乙女酒造 (福岡県田主丸町) (TEL 0943-72-3939)
――「紅乙女」醸造元

胡麻祥酎という、全く新しいお酒を世に広めた紅乙女酒造。胡麻祥酎にとって、貯蔵熟成の工程というのは、非常に重要なもの。そこで、耳納連山の麓にある同蔵の「山の貯蔵庫」にうかがった。
この貯蔵庫では、カメ、樽、タンクと3つの方法で熟成が行われており、これらの原酒をブレンドすることで『紅乙女』ならではの複雑で奥深い風味が生まれるのだ。貯蔵庫内を歩くと、酒の息づかいが聞こえてきそうな気がする。
案内していただいた村井羊一さんは、カメ貯蔵の原酒に特に愛着を抱いているという。パチンとはじけるような味わい、そして何とも柔らかな風味、女性でいえば熟女のような味わいですと、村井さんは笑った。
胡麻祥酎「甕囲」
720ml/アルコール分25%

麦焼酎 「千年の眠り」 篠崎 (福岡県朝倉町) (TEL 0946-52-0005)
――「千年の眠り」醸造元

篠崎博之社長が東京の料飲店で食事をしているときに、隣の席に座っていたお客さんの話し声が聞こえてきた。
「『千年の眠り』という焼酎を知っているか? これがうまいんだよ…」。まさか、東京で自分のところの焼酎が人々の噂にのぼっているとは。よそにはない高品質の焼酎造りというロマンを求めて焼酎造りに取り組んできた、篠崎社長ら同蔵の人々の努力が実を結んだ瞬間であろう。このロマンが、まさに『千年の眠り』という銘柄に込められているのである。
さらに、焼酎のマーケットを海外にまで広げ、ジャパニーズスピリッツとして新たな飲酒文化をつくりたいと、篠崎社長のロマンはますます広がる。
麦焼酎 「千年の眠り」
720ml/アルコール分40%
熊本県
「純米酒 朱盃」 千代の園酒造 (熊本県山鹿市) (TEL 0968-43-2161)
――「千代の園」醸造元

今年の全国新酒鑑評会では、九州勢の活躍が目立った。千代の園酒造もめでたく金賞を受賞。九州の日本酒に特徴的な味わいの深さが、全国的に評価されたのだ。
「芋焼酎が人気となっているのは、人々の嗜好が香りだけでなく味のある酒を求めていることの表れです。これはウチの蔵にとっても追い風だと考えたいですね」と語る製造係長の志垣道廣さん。
さらに、志垣さんは、既成概念にとらわれない、日本酒の新しい楽しみ方の提案も行っていきたいと語る。
例えば、日本酒のお湯割りやオンザロックス。お湯や氷で割っても薄まらない、しっかりとした日本酒を造れば、きっと日本酒の楽しみはもっと広がるだろう。焼酎ブームの次は、きっと日本酒がくるはずだ。
「純米酒 朱盃」
1.8L/アルコール分15%

米焼酎「しろ」 高橋酒造 (熊本県人吉市) (TEL 0966-24-5155)
――「白岳」「しろ」醸造元

球磨地方ならではの米焼酎の魅力を、全国に広めたのが『しろ』の醸造元である高橋酒造。
最近では北海道・東北などでも2桁の伸びを示すなど、今まで本格焼酎とは縁の薄かった地域でも、『しろ』の人気は高まっている。
「当社の場合は製造に約25日、貯蔵熟成に約3か月かけて商品化するのですが、出荷のペースをあげるために、この期間を短縮するということは、絶対にしません。『白岳』や『しろ』の香りや味のバランス、一体感が生まれるには、これくらいの時間が必要なんです」と語る広報部長の久保田一博さん。
ただ、飲みやすいだけではない。球磨焼酎ならではのコクとまろやかさを有しているからこそ、『しろ』は全国的なヒット商品となったのである。
米焼酎「しろ」
720ml/アルコール分25%

米焼酎「喜多蔵」 美少年酒造 (熊本県城南町) (TEL 0964-28-2111)
――「美少年」醸造元

熊本の『美少年』といえば、全国的にも有名な日本酒の銘柄であるが、ここ数年は、焼酎ブームに応えるべく、焼酎造りにも取り組んでいる。
その中でもおすすめしたいのは純米焼酎『喜多蔵』。日本酒と同格の原料米を用い、麹も日本酒と同じ黄麹を使用。仕込形式も、日本酒と同じ三段仕込みで、さらに、大吟醸に使用する吟醸酵母を用いて低温発酵させ、40℃にて減圧蒸溜して、この純米焼酎が出来上がる。
「やはり日本酒蔵元ならではの、特徴をいかした焼酎造りをこころがけたいですね。冬は日本酒、夏は焼酎といった具合に、飲み分けていただければうれしい」と企画開発室課長の小路博文さんは語る。
米焼酎「喜多蔵」
720ml/アルコール分25%

「芳醇純米種 瑞鷹」 瑞鷹 (熊本県熊本市) (TEL 096-357-9671)
――「瑞鷹」醸造元

熊本市内唯一の蔵元、瑞鷹は、慶応3年に「熊本を代表する日本酒を造ろう」という志のもとに、創業された名門蔵だ。今年も全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど、酒造技術の高さは、全国的にも大いに評価されている。
歴史的な建造物が多く残る、美しい街並みの中に蔵はある。そして、それに隣接する「瑞鷹酒蔵資料館」では、創業以来遺されてきた、貴重な歴史的資料が展示されている。明治大正期の人々の生活ぶりが見えてくるような展示物の数々には興味をかき立てられる。
同資料館で販売されている商品のうち、一番人気は『芳醇純米酒 瑞鷹』。地元の米と阿蘇の伏流水で醸した、文字通り芳醇にして、まろやかな味わいの純米酒だ。
「芳醇純米種 瑞鷹」
720ml/アルコール分15〜16%

米焼酎「米倶楽部」 球磨焼酎 (熊本県人吉市) (TEL 0966-22-6930)
――「球磨焼酎」醸造元

人吉の居酒屋で『米倶楽部』という球磨焼酎を飲んだ。米焼酎ならではの芳醇な香り、うっすらと黄金がかった美しい色合い、一口含むと本格焼酎の重厚な風味が感じられ、しかも決して重すぎない。
球磨地方にある全28社の球磨焼酎を厳選し、ブレンドすることで、バランスのとれた風味の米焼酎を商品化してきた同社。『米倶楽部』は、減圧蒸溜の原酒と、常圧蒸溜・樫樽貯蔵の原酒をブレンドし、減圧だけでも、常圧だけでも出せない飲みやすさとコクを実現した。
「米という貴重な原料で造ったプレミアム感を、『米倶楽部』という銘柄からも感じていただけると思います。私も全国を飛び回って、この商品を売り込んでいきますよ」と代表取締役社長の松下幸郎さんは意気込みを語った。
米焼酎「米倶楽部」
720ml/アルコール分25%

   

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