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2006年10月号 掲載

沖縄県
沖縄には、島の言葉があり、島の料理があり、島の歌がある。そして、何よりも忘れてはならないのは、島の酒があるのだ。酒飲みを喜ばす要素をこれだけ揃えている土地というのは、世界中を探してもそう多くはない。ここでは、沖縄の人々が胸を張って自慢する、島の酒の数々をご紹介したい。

(順不同)




瑞泉 熟成古酒40
瑞泉酒造 (沖縄県首里崎山町1-35) (TEL 098-884-1968)
――「瑞泉」醸造元

約30年前から古酒の素晴らしさを訴え続け、他に先駆けて、古酒の逸品を商品化してきた『瑞泉』蔵元の瑞泉酒造。明治20年創業で来年120周年を迎える同社の4代目当主で、沖縄県酒造組合連合会会長も務める佐久本武さんに、古酒の貯蔵方法についてうかがった。
「古酒というのは沖縄の風土が育てるものなんです。ですから古酒の貯蔵は常温で行うのが基本だと思います。沖縄では真冬は気温が10度前後まで下がり、夏には30度以上になります。この温度差によって、貯蔵タンクや甕の中で対流がおこり、より一層熟成が進んでいきます。こんな点からも、やはり古酒は沖縄の自然の賜物なのだと感じますよね」。
沖縄でも随一の古酒貯蔵量を誇る同蔵の商品は、「熟成古酒40」が全日本酒類コンクールで満点のグランプリを受賞するなど、地元はもとより全国で高い評価を受けている。那覇国際空港のお土産物ランキングでも、「瑞泉」ブランドが上位を独占しているということからも、この蔵元の実力がみてとれるだろう。
首里崎山町の瑞泉酒造本社には、今日も多くの観光客が訪れ、泡盛文化の真髄に触れるのである。
瑞泉 熟成古酒40
720ml/アルコール分40%



古都首里
瑞穂酒造(那覇市首里末吉町4-5-16) (TEL 098-885-0121)
――「瑞穂」醸造元

瑞穂酒造の創業は1848(嘉永元)年、沖縄でも最古の蔵元の一つである。首里三箇の一つ、首里鳥掘町に創業し、現在は首里城近くの首里末吉町に蔵を構えている。天龍蔵と名付けられたこの蔵は、先々代社長の玉那覇有義さんが、夢の中で龍が自社工場に舞い降りてきたことから命名され、現在も、蔵の入口には、龍が舞い踊っているのである。
「古酒ロイヤル瑞穂」「古酒マイルド瑞穂」などといった、同蔵自慢の商品ラインナップに新たに加わったのが、その名もずばり「古都首里」。1983年に製造され、20年以上にわたり、この蔵で大事に育まれてきた貴重な古酒が10%ブレンドされた逸品である。泡盛文化の発祥の地である首里の名を銘柄に冠するところからも、この商品に対する自信がうかがえる。
「当社の商品は、新酒でも1年以上の熟成はしています。先人たちが培ってきた泡盛造りの伝統を大切に受け継ぎながら、新しい商品の開発にも積極的にチャレンジしていきたい」と語る、製造部企画課課長の玉那覇三貴さん。
新商品「古都首里」には、158年に及ぶ瑞穂酒造の、泡盛造りの歴史が、ギュッと凝縮されているように感じる。

古都首里
720ml/アルコール分25%



玉友甕仕込 古酒
石川酒造場(沖縄県西原町小那覇1438-1) (TEL 098-945-3515)
――「玉友」醸造元

「玉友」「うりずん」醸造元の石川酒造場といえば、昔ながらの甕仕込みを、沖縄で唯一現代にまで伝える蔵元として知られている。
「作業効率からいえば、甕仕込みを続けていくことは大変なことです。ただ、沖縄で長年続けられてきたこの技術を絶やしてはいけないという思いで、現在も甕仕込みにこだわっているのです」と石川信夫社長は語る。
この伝統に対する敬意は、今年、新しく稼動した、「陽迎之杜酒蔵」にも活かされている。最新の醸造設備を備えるこの蔵の各工程の部屋に「糀室」、「もろみ室」など、昔ながらの沖縄言葉が書かれている。こうして、沖縄の泡盛文化は、次の世代にまで引き継がれていく。
今後の泡盛業界のことを考えると、海外の市場は無視できないと語る石川社長。沖縄には、関税が免除される全国唯一のフリーゾーンがある。ここで泡盛を製造、貯蔵・熟成し、世界に向けて出荷すれば、外国の人々にとっても、泡盛は今よりはるかに身近なお酒になるだろう。世界の沖縄人ネットワークは、泡盛の販路を広めるのに、大きな役割を果たしてくれるはず。これが実現すれば、沖縄のみならず、日本のお酒の歴史でも画期的な一歩となるだろう。
玉友甕仕込 古酒
720ml/アルコール分25%


1983年製造 古酒 龍
金武酒造 (沖縄県金武町字金武429) (TEL 098-968-2438)
――「龍」醸造元

鍾乳洞の貯蔵庫で有名な蔵元。泡盛の製造の現場に長年携わってきた、いわゆるプロフェッショナルな立場からは、こうしたアイディアはなかなか生まれてこないだろう。一般消費者の立場から、「こんな古酒があれば面白い」と発案したのが、専務取締役の豊川あさみさん。蔵元の長女として生まれた豊川さんだが、造りの現場は実弟で同蔵社長の奥間尚登さんに任せ、自らは商品企画に関する様々なアイディアで蔵を支えている。
金武という小さな町で、戦後、泡盛を造り続けてきた同蔵。これから生き残っていくためには古酒の商品を充実させる必要があると感じた豊川さんは、今から20数年前、地元以外への商品出荷をストップさせ、せっせと古酒造りに邁進した。様々な年数の古酒をブレンドするのではなく、同じ年数のものだけを瓶詰めする100%古酒年数表示を、他の蔵元に先駆けて始めたのも、同じ頃だ。
「2年前の古酒年数表示の自主基準設定以降、古酒の定義が明確化したということはとてもいいことだったと思います。お客様の立場からすれば、こうしたほうが、遥かに分かりやすく、古酒の価値もストレートに伝わりますからね」と豊川さんは語る。
1983年製造 古酒 龍
720ml/アルコール分43%
 


美しき古里
今帰仁酒造 (沖縄県今帰仁村字仲宗根500) (TEL 0980-56-2611)
――「美しき古里」醸造元

美しい包装紙で飾られた樽詰貯蔵古酒「千年の響」という商品をご覧になった方も多いだろう。酒飲みのロマンをくすぐる銘柄とパッケージを持つこの商品の製造元が、沖縄本島北部、山原の森の中に蔵を構える今帰仁酒造である。
「数年前に泡盛の世界で樽貯蔵酒のブームがあったんですけど、この『千年の響』という商品は、ブームが一段落した後も、根強い愛飲家がおられ、堅調な伸びを示すロングセラーです。この商品以外に、今、お薦めしたいのは『美しき古里』という商品です。今帰仁酒造の酒質は、昔から淡麗タイプだったのですが、この商品もスッキリとした喉越しとキレのある深い味わいを持った自信作です」と語る、大城善男社長。
自然豊かな今帰仁の名水で醸す泡盛は、古くから地元の人々を中心に愛されてきた。そして、現在は、地元のみならず、本土でも多くの人々に愛飲されるようになった。「泡盛が一地域の地酒という時代は終わった」と語る大城社長の目は、日本全国、そして海外にまで向けられている。
都会で暮らす人々が、ふと古里の美しい自然を思い浮かべるような、そんなお酒が、この「美しき古里」なのであろう。
美しき古里
720ml/アルコール分30%

昔醸 翠古 忠孝酒造 (沖縄県豊見城市字名嘉地132) (TEL 098-850-1204)
――「忠孝」醸造元

米焼酎「しろ」は、画期的な商品であった。減圧蒸溜によって生まれる、すっきりと飲みやすい焼酎。まさに、食中酒としては、うってつけの味わいだ。
この「しろ」の醸造元、高橋酒造から、待望の新商品が発売されている。「待宵」と命名されたこの新商品は、米麹を原料とした全麹仕込みで造られた一品。米の全麹仕込みというと、沖縄の泡盛を思い浮かべてしまうが、広報部長の久保田一博さんによると、米焼酎ならではのクセのない味と香りに、濃厚芳醇さが深く濃く美しい本格米焼酎に仕上がっているとのこと。
「しろ」を愛飲してきた人には、さらに濃厚で芳醇な米焼酎ならではの味わいを楽しめ、しかも食中酒として、今までにない球磨焼酎の世界を示してくれる新商品だ。
高橋酒造から20年ぶりの新商品となるこの焼酎は、今のところ、熊本限定の商品なので、火の国を訪れた際には、是非とも味わってほしい。
昔醸 翠古
750ml/アルコール分30%

菊之露VIPゴールド 菊之露酒造 (沖縄県宮古島市平良字西里290) (TEL 0980-72-2669)
――「菊之露」醸造元

沖縄本島から南西に326km。珊瑚礁の島、宮古島には、泡盛の蔵元が7蔵ある。その中で、県外でも抜群の知名度を誇るのが菊之露酒造である。
「同じ原料で、同じ麹、同じ水で造っているのに、それぞれの蔵元で、微妙に味が違うんですよね。そして、島の人は自分の村の酒を何よりも愛している。これこそが泡盛の文化なのでしょうね」と、取締役企画部長の下地均さん。
沖縄人の郷土愛は、内地人の想像の及ぶ以上に強烈なものであるが、殊に宮古人のそれは群を抜いており、日本国中、どこにいっても宮古の酒を求めて探し回るという話を聞いたことがある。「菊之露」が全国ブランドとして成長したのは、もちろんその優れた酒質があればこそだが、加えて宮古の人々が全国各地で「菊之露」の熱烈なPRマンとして活躍した功績は見逃せない。
自他共に認める大のお酒好きな下地さん。自分が飲みたいお酒を造るのが基本だと語る。「お酒の神様が一口飲んで、ウン、いいんじゃないかとうなずいてくれるようなお酒を造っていきたい」という言葉に、酒飲みならではのユーモアを感じた。
菊之露VIPゴールド
720ml/アルコール分30%
 
 


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