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2008年3月号 掲載
(順不同)
高知県
■
土佐鶴酒造
(高知県安芸郡安田町1586)
(TEL 0887-38-6511)
――「土佐鶴」製造元 HP
http://www.tosatsuru.co.jp/
淡麗辛口を特長とする土佐の日本酒を、全国に広めた蔵元が土佐鶴酒造である。
「日本酒の甘辛を示す日本酒度では確かに辛口ですが、酸度が低めでバランスが取れており、日頃、日本酒を飲みつけない人でもスッキリと飲みやすいのが、土佐の日本酒です」と、品質管理部長の杉本芳範さん。
『土佐鶴』の酒質を決定づける非常に重要な工程の一つが「きき酒」だ、と杉本さんは語る。土佐鶴酒造の本社蔵、千寿蔵、天平蔵で造られるお酒は、朝夕、きき酒室で、造り手自ら厳密に味や香り、色合いの確認がなされ、基準を満たしたもののみが、『土佐鶴』のラベルを貼ることを許される。造り手たちの き酒能力は非常に高く、そのことは全国 き酒選手権チャンピオンを3人(廣松慶久氏、田村隆夫氏、久武宣興氏)も輩出したことでもわかる。
良い米と良い水で丁寧に醸す、というのが日本酒の基本であるが、同じように造っていても微妙に味わいの差が生じるのが、お酒造りの奥深いところ。その細かな違いを感知し、より高いレベルで酒質を安定させる。酒どころ、土佐の定番ブランドとして全国に愛飲者を持つ『土佐鶴』の美味しさの秘密は、このきき酒にある。
大吟醸原酒「天平 土佐鶴」
900ml、3965円
■
菊水酒造
(高知県安芸市本町4-6-25)
(TEL 0887-35-3501)
――「菊水」製造元 HP
http://www.tosa-kikusui.co.jp
蜂蜜を原料としたミード、ペットボトル容器で、気軽に楽しめる新感覚の本格焼酎、Eスタイルシリーズなど、従来の酒造業界の枠にとらわれない、斬新な商品を次々と生み出している、土佐の菊水酒造。
現在、同蔵の商品ラインナップの中で、注目すべきは、沖縄以外では本土初めての発売となる『黒糖酒』である。日本で黒糖を原料とした蒸溜酒といえば、奄美の黒糖焼酎があるが、黒糖焼酎は米麹を使って発酵をさせる。一方、この『黒糖酒』は黒糖100%で仕込み、蒸溜する。製法からいえばカリブ海のラムと同様であるのだが…。
「とはいうものの、ラムと比べると非常に繊細な味わいに仕上がっていると思います。ラムの持つ荒々しさというのは、もちろんその魅力の一つではあるのですが、日本酒の蔵元が造るのですから、より繊細な風味が醸し出されるよう、工夫しました」と総務部長の春田和城さんは語る。
ストレートでいただくと、スゥーと舌の上から喉に通っていき、口から鼻にフルーティな心地よい香りが広がる。32%というアルコール分をあまり感じさせない、やわらかな美味しさが楽しめる。黒糖焼酎とも、カリブのラムとも違う、新しい蒸溜酒である。オンザロックスで飲むのがお薦め。
黒糖酒 さとうきびのお酒
720ml、2200円
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西岡酒造
(高知県高岡郡中土佐町久礼6154)
(TEL 0889-52-2018)
――「純平」製造元
高知市から西へ車で約1時間。中土佐町久礼は、本誌「コマの間に滲む酒」でご紹介している青柳裕介さんの代表作『土佐の一本釣り』の舞台となった町である。古くからカツオ漁で栄え、今でも多くの観光客を集める。
『土佐の一本釣り』の主人公の名前を冠した日本酒が、西岡酒造が造る『純平』である。口に入れた瞬間に感じるキレの良さ、辛口でスッキリとした酒質は、まさに漫画の主人公から受ける印象にぴったりとはまる。この町の名物、鰹のタタキとともに味わいたい一本だ。
「青柳先生は、『土佐の一本釣り』を執筆中、ここ久礼に住み込んで、昼は海辺でスケッチ、夜は地元の人々と毎夜の酒盛り、そんな生活の中であの傑作を生み出したんです。『純平』という銘柄をいただいた以上、あの純粋で男気のあるキャラクターにそぐうお酒を造り続けていきたい。『純米吟醸 純平』は高知の酒造好適米、吟の夢を四万十源流の名水で仕込んだ、高知ならではのお酒です」と九代目当主の西岡忠臣さん。
高知で最も古い歴史を持つといわれる同蔵には青柳裕介さんの原画も多数展示されている。久礼を訪れた際には、是非とも立ち寄っていただきたい。
純米吟醸 純平
720ml、1890円
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司牡丹酒造
(高知県高岡郡佐川町甲1299)
(TEL 0889-22-1211)
――「司牡丹」製造元 HP
http://www.tsukasabotan.co.jp
直木賞作家の山本一力氏の『牡丹酒』は元禄期の南国土佐を舞台にした時代小説であるが、ここに登場する蔵元が司牡丹だ。
「一力先生が佐川町に講演に来られた際に、当蔵の白壁の佇まいをご覧になられて、小説の発想を得たとお聞きしています。鰹のわたの塩辛、酒盗を肴に『司牡丹』を飲む場面が随所に描かれていて、日本酒好きであれば喉が鳴る作品だと思います」と語る、専務取締役の山下伊佐夫さん。
この作品の発表に合わせて、昨年発売されたのが『土佐牡丹酒』である。
取締役醸造部長の玉木實さんは「毎夜の晩酌に飲むことができる純米酒、をテーマに造りました。値段がお手ごろということもありますが、すっきりと飲みあきしないお酒で、二杯、三杯と飲み進むうちに、美味しさを実感していただけるお酒に仕上がったと思います」と語る。
実際にその風味をきいてみると、口にいれた瞬間は、何の障りもなく喉口までお酒が通っていき、しばらくしてから日本酒の旨味が一杯に広がる。まさに、後に引く旨さ…。そして、この後口の長さが、また次の一杯を誘うのだ。こんな純米酒を毎晩飲めたら、何と幸せなことだろう。
土佐牡丹酒
1.8L、2000円
720ml、1000円
180ml、263円
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土佐酒造
(高知県土佐郡土佐町田井418)
(TEL 0887-82-0504)
――「桂月」製造元 HP
http://www.i-chirashi.net/keigetsu/
南国土佐、とはいうものの、訪れたのは1月下旬、四国山地は雪化粧であった。四国の水ガメ、早明浦ダムの程近く、自然豊かな土佐町に蔵を構える『桂月』醸造元、土佐酒造は、上質の「普通酒」を醸し続ける蔵元として、地元で、そして全国でも愛されている。
「東京の神楽坂にある[八千代鮨]というお店で、ウチの『銀杯』(旧2級酒)を、長年使っていただいています。店主いわく、『桂月』の味わいが、江戸前の寿司によく合うのだそうで、私も何度かそのお店でいただきましたが、料理とお酒がお互いを高めあうという体験をさせてもらいました」と、代表取締役の澤田輝夫さんは笑う。
軽やかでスッキリ、という土佐のお酒ならではの味わいに加えて、その芯の部分にしっかりとした旨味がある。土佐のいごっそうのように、気骨のあるお酒、というのが、『桂月』の特長といえるだろうか。蔵の中で、仕込みに使う谷水をきかせていただいたが、その円さ、やわらかさといったら…。ほのかに甘味を感じるこの水が『桂月』の味わいを造りだす。
蔵の前の道には、初夏の頃にはホタルが舞うという。日本各地で失われつつある、この豊かな自然もまた、『桂月』の味わいの一つになっているに違いない。
桂月 銀杯
1.8L、1643円
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酔鯨酒造
(高知県高知市長浜566)
(TEL 088-841-4080)
――「酔鯨」製造元 HP
http://www.suigei.jp/
『酔鯨』という酒銘は、司馬遼太郎の短編『酔って候』の主人公としても知られる、幕末の土佐藩主、山内豊信(容堂)公の雅号、「鯨海酔候」に由来している。
高知市唯一の蔵元である同蔵は、古くから山内家と縁深く、そのラベルには山内家の家紋である三ツ葉柏をいただいている。そして、この蔵のお酒で、今、話題を呼んでいる一本が、そのものずばり『山内家ゆかりの酒(復刻酒)』である。
明治28年に、日本で初めて分離された清酒酵母を使って造られたこのお酒。精米歩合も75%とあまり磨き過ぎず、明治の味わいを現代の技術で復刻させた純米酒である。
取締役工場長の石元茂治さんによると、仕込み水は高知市から山一つ隔てた、旧土佐山村の、鏡川源流の名水を毎日タンクローリーで運んでくるとのこと。精白が低くても、酒質が重たくならず、土佐の酒ならではのキレの良さがしっかりと感じることができるのは、造りの秀逸さもあるが、この仕込み水の存在も少なからず影響しているのだろう。
よなよな、酔っては屋根の上に昇り、詩を口ずさみながら酒をあおったという容堂公。『山内家ゆかりの酒』を飲めば、酒豪の境地に一歩近づけるかも知れない。
山内家ゆかりの酒(復刻酒)
720ml、1575円
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アリサワ
(高知県香美市土佐山田町西本町1-4-1)
(TEL 0887-52-3177)
――「文佳人」製造元 HP
http://jin6.exblog.jp/
当主自ら蔵に入り日本酒を造る。こういう蔵元も、今ではさほど珍しくなくなった。土讃線土佐山田駅前にある、『文佳人』醸造元、アリサワもそんな蔵元の一つ。お話をうかがったのは代表取締役杜氏の有澤浩輔さんだ。
「13年前に実家に戻り、10年前から造りに携わるようになりました。はじめは本当に試行錯誤で、多くの方に教えてもらいながら造っていましたが、ここ数年で、ようやく蔵の造りの方針が固まって来たと思います」。
とはいえ、この10年で、全国新酒鑑評会で金賞4回、銀賞5回という実績を積み上げているところを見ると、有澤杜氏の天賦の才を感じずにはいられない。
土佐藩執政、野中兼山の娘で、漢文を始め学問に優れた「お婉さん」を讃え、明治時代に二代目当主が名付けた『文佳人』という銘柄を引き継ぎ、今後は純米や吟醸といった付加価値の高いお酒を、大事に育てていきたいという、有澤杜氏。彼の造る銘酒を味わうには、是非とも、蔵に隣接した酒蔵レストラン[文蔵]を訪れて欲しい。土佐ならではの山海の恵みと、きめ細やかで飲みあきしない『文佳人』の妙味を堪能することができる。
小さいながらも、将来性を充分に感じさせてくれる蔵元である。
文佳人 純米酒
720ml、1200円
香川県
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西野金陵
(香川県仲多度郡多度津町葛原1880) (TEL 0877-33-4133)
――「金陵」醸造元 HP
http://www.nishino-kinryo.co.jp/
日本各地で、それぞれの土地の特性を活かした酒造好適米を育てていこうという取組みが盛んに行われるようになった。日本酒は文化。であるなら、その文化は多様である方がいい。地域ごとに独自の食文化があり、酒文化がある。豊かな国には、色とりどりの文化が綾なしているのだ。
香川の新しき酒米「さぬきよいまい」は、「オオセト」と「山田錦」のめぐり合わせによって誕生した。山田錦のふくらみとオオセトのキレを合わせ持つとされるこの「さぬきよいまい」について、造りの現場を代表して、醸造課長の酒井史朗さんに聞いた。
「一昨年から試験醸造をはじめ、昨年から本格的に造り始めたのですが、当初はなかなか米のクセを掴み切れず苦労しました。タンパク質が少ないお米で、その分、雑味のない、クリアな酒質が生まれます」。
企画課長の竹内正樹さんによると、同蔵から発売された『純米さぬきよいまい』は、昨春の発売後、引く手あまたで、一夏を越して秋上がりするまでに、全て売り切れてしまったという。今年は、製造量を増やすとのことで、秋口にはさらにふくらみを増した『純米さぬきよいまい』を楽しむことができるだろう。今年は3月に出荷予定とのこと。
純米さぬきよいまい
720ml/1260円
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